MAGAZINE

2024年5月7日

インタビュー

イベントの人材・企業を支える「研修」

ステージでプレゼンテーションをしたり、展示会の企業ブースで新製品のデモンストレーションをしたり、見込み顧客との最初の接点となる人材こと、イベントアテンダント。
その大役を商品知識が豊富な自社の社員ではなく、外部のアテンダントに任せるのはなぜか。
それは、誰もが仕事や生活のなかで行なっている説明や会話といったものの中にも「プロの技術」があり、それによって話を聞く人の印象が大きく変わるからです。

しかし、最初からプロのスキルを持った人がいるわけではありません。皆様が会場で見ている「イベントアテンダント」とは、研修を受け、練習を重ねたスタッフの完成形と言えます。
サピエントでは企業向けの研修プログラムを提供するだけではなく、自社のアテンダントへの研修も実施しています。
今回はサピエントが自信をもってアテンダントを派遣するために実施している研修について、研修事業担当の宮﨑さんにお話をうかがいます。

 

個性を活かしながら、誰からも好感をもたれる

イベントやショールームなどで働くスタッフに企業が求めるものとは?

簡潔に言うと、誰からも好感をもたれ、失礼のない接遇をすることです。対応してくれたスタッフの印象がそのまま企業のイメージとなることが多いですからね。
私たちが大切にしているのはやはり第一印象です。

人は見た目で判断するといいますが、最初のマイナスイメージを覆すのはとても時間がかかります。
身だしなみも含めてコミュニケーションの第一歩が第一印象です。
好印象をもたれる見た目といっても、美人とか可愛いからではなく、TPOに合わせた髪型、メイク、服装、立ち居振る舞いをするということが挙げられます。

お化粧のレッスンでは皆さんにメイク道具を持参していただき、実際にメイクをしてもらいます。
顔立ちは人それぞれで、顔のパーツ位置に応じてアイラインの入れ方や似合う色というのが違ってきますし、「これが正解」というのはありません。一人ひとりに合ったアドバイスをしていくのがサピエント流です。
お仕事の場では基本的にナチュラルメイクが好まれます。普段濃いめのお化粧をしている方には、ナチュラルメイクとはどれくらいの化粧なのか客観的にアドバイスをいたします。
また、男性アテンダントの方も、同様に第一印象が重要です。お化粧をする方はまだ多くはないですが、髪型や服装の着こなしで清潔感を出すことが最も大切です。

大切な要素、「表情」について

表情については人それぞれですが、サピエントではトレーニングの重要項目として挙げています。
日常生活であまり大きく表情を出さない方もいらっしゃるので、「自然な笑顔」とは何か。つくり笑顔ではなく自然な笑顔はどういうものか。
そうした理念からトレーニングをスタートします。

「笑顔はつくるものでは無い」ということが重要であり、変に作ってしまうと不自然な表情になってしまい、逆効果です。
まずは座学で、表情筋と呼ばれる顔にあるさまざまな筋肉について学び、どこの筋肉が動くとどういった表情になるかといった情報をインプットします。
そのあとは、自分の個性を活かし得意な表現方法を一緒に考えていきます。

実は難しい、「まっすぐに立つこと」

次に、立ち姿の美しさ・姿勢も大切なのでしっかりとトレーニングをしています。
背筋を伸ばすのはもちろんのこと、意外とできていないのは「まっすぐに立つこと」です。
中々自覚ができないのですが、良く見ると前後左右に傾いていることが多いです。自分ではわからないものなので、他の方に観てもらったり、映像を撮ってチェックして直します。
無意識に猫背になっている方も多いため、皆さんも一度鏡でチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

 

発声・話し方・内容はプロになっても再確認を

アピアランス(外見)と同じくらい大切な話し方。
友人や家族との会話と違い、人前で話すときには言葉のはじめから終わりまで、きちんと聞き取れるように、またメリハリもつけて伝わりやすくすることがポイントです。
しっかりと発声するには、口をしっかり開ける事が基本ですが、ただ大きく開ければいいわけではなく、母音ごとに正しい口の形があるのでそれをトレーニングします。
長時間話し続けても耐えうる声量や質の良い声を発声するために、腹式呼吸をしっかり訓練して声の表現力を高めていきます。

そしてやはり苦労するのは、「言葉遣い」ですね。
新丁寧語といいますか、間違った敬語を自分では正しいと思い込んで堂々と使ってしまうことが最近ではよく見られます。
身についてしまっていると普段使いしていることもあり、なかなか直すのが大変な要素です。

「言葉遣い」の直し方

まず、間違いである理由をきちんと説明して理解・納得してもらうこと。
そしてロールプレイングや研修の会話のなかで見つけた際に、直るまで何度も指摘し続けます。
いつの時代も「若者ことば」は存在します。しかし、仕事のためにその場だけ話し方を変える、いわゆる「付け焼刃方式」ではすぐにボロが出てしまうので、普段から言葉遣いに気をつけることが、話し方のプロになれる第一歩です。

サピエントで研修を受けているアテンダントの取り組みを見ていると、単なる言葉遣いの“矯正”ではなく、仕事を通じて大人としての言葉遣いを身につけ、人間的に成長する機会に役立てて下さっているように思います。
話す内容については、台本があったり、クライアントごとに違う用法がありますので、現場ごとに学ぶという姿勢で研修を実施しています。
ただ、やはりイベントなどで活躍する場合には、アクシデントは付き物。台本にない対応を求められる場合もあるので、ものごとを簡潔にまとめて説明するトークレッスンも行います。
さらに、イレギュラー時の対応や場繋ぎのために、一般常識や時事問題はある程度は学んでおくべきという、情報収集の重要性も同時に学びます。

このようにイベントアテンダントの研修では、さまざまなことを行ないます。
「あれが苦手だけど、これは得意」では現場に立つことはできません。すべてのことをきちんと身に着けるまで繰り返して訓練し、また現場経験を積んでも定期的にブラッシュアップしたり、悪いクセがついていないか再確認のために研修を受けるアテンダントも多いです。
そうしてそれぞれが成長していくことで、サピエントの「イベントアテンダント」は完成します。

 

講師の熱意とプロ意識で、派遣人材以外の企業研修も

サピエントでは、派遣するアテンダントの社内研修だけでなく、企業向けの研修プログラムも提供しています。
当社が派遣したアテンダントの立ち居振る舞いやお客様対応の様子をご覧になった企業の方から「ウチの社員も研修をやってもらえないか」とお話をいただいた事がきっかけでスタートいたしました。
今では当社の主要な事業の一つになっています。

様々な研修プログラム

マナーや話し方の研修だけでなく、営業向けの販売研修やブランディングなど、イベントアテンダントの研修とは異なる内容も実施しています。
多くの企業様で継続的に実施していただいている理由は、やはり、講師の向き合い方・スキルと熱意、研修が実務に役立っているという実績と自信にあると思っています。
一方的な講義をするだけでなく、心の通った研修、一緒に目的に進んでいく時間の体験を提供しています。

企業研修は、「いまさらなぜ研修なんか…」というマイナスな気持ちを払拭し、向き合ってもらうことからはじまります。
講師は相手の気持ちを動かす話のプロとして、そのスキルと熱意をもっています。
イベントアテンダントの研修において、学んだことがすぐに役立っているという実績や信頼から、自信をもって一人ひとりと向きあうことができるのです。
また、当社では講師向けの「トレーナーズ・トレーニング」という、講師のスキル向上や同じ意識と熱意をもって取り組むために「チーム力の強化」を目的とした社内研修も定期的に実施しています。

最後に

企業研修でもイベントアテンダントの研修でも、私たちが心しているのは、「常に進化をしていく」ことです。
スキルやノウハウにはトレンドがあり、常に新しい考えが生まれます。
マナーひとつとっても、社会情勢の変化によって求められることは変わっていきます。

現在は多様性やハラスメントの対応、国際化の対応など、これまでとは違う対応が求められています。
研修で皆さんにそれをお伝えするわけですから、トレンドや情報をキャッチするだけでなく率先垂範、まずは自分たちで学び実践していかなければならないという覚悟を持ち、研修事業に取り組んでいます。そうした努力を絶やさず、研修後もやりっぱなしではなく成果がでるまでフォローする。そして現場でその成果を出していただく。「研修」とは、根気強さが必要ですし、心配と苦労が絶えません。
それでも、プログラム終了後に、みんなで拍手しあって一体感が生まれる感動は言葉に代えがたい経験です。
皆さんの転機にご一緒できるという歓びがある素敵な仕事だと思っています。「あの時の研修のおかげで…」といった言葉を数年後に聞くため、これからもサピエントは尽力して参ります。

>>>人材育成・研修の事業紹介ページ

 

FacebookTwitterLine