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2023年12月26日

インタビュー

人材の仕事についたきっかけ、舞台裏の楽しさとこだわり

人材派遣、イベント運営、研修、施設運営などのさまざまな事業で、企業とお客様を繋いでいるサピエント。
信頼されるパートナーとなるための、人材の仕事の魅力とこだわりについて、メンバー3人にインタビューをしました。イベントの原体験、印象的だった業務、これからの仕事のあり方についてうかがっています。

 

 

皆さんのイベントとのはじめての接点はどのようなものでしたか

ホンマ 1970年の日本万国博覧会(大阪万博)に連れていってもらったのですが、その時はまだ幼くて、広いなあ、人がいっぱいいるなあ、というぼんやりした記憶だけ残っています。神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア’81)は、私から親に自ら旅先として頼んで連れていってもらいました。ソフトボールをしていたので、近くの甲子園に行ってみたかったということもあります。

シモベ ポートピア’81は私も行きました。巨大なコーヒーカップ型のパビリオンのUCCコーヒー館が印象に残っています。その館のとてもきれいなコンパニオンさんに憧れたことから、その後ミスコンテストに出場して入賞、その活動の一環でイベントにコンパニオンとして参加するようになりました。

セノオ 私は万博よりも…そうだな、子供のころ、浴衣を着せてもらった盆踊りは楽しかった思い出ですね。(笑)いつもは食べてはいけなかったお菓子を友達と食べたり、お小遣いをもらって自分で買い物をしたり、ちょっと大人の世界を体験する非日常な空間でした。

 

そうしたイベントの原体験がいまの業務につながっているのですか

シモベ そうですね。20代のころはミスやイベントコンパニオン、当社でいうアテンダントをやっていて、30歳すぎからADやディレクターや人材の手配など裏方の仕事をはじめましたので、イベントにはずっと関わってきました。

ホンマ 私は以前雑誌編集をしていました。「つくる仕事」を続けたくて、イベント業界の事前準備から運営までおこなっていくところに興味を持って転職しました。万博の参加体験から直接イベント業界に入ったわけではありませんが、いま業務として万博や五輪に関われるのはやはり感慨深いですね。

セノオ 新卒で入社した印刷会社が広告代理店事業も手がけていて、官公庁のイベントを運営していました。開通式とか技術発表会、マラソン大会など、さまざまなイベントに関わりました。大臣などVIPも参加するような一発勝負の失敗できない世界でしたから、かなり緊張しましたね。その非日常な空間も楽しみつつ、仕事をしていました。

 

仕事としてのイベントで印象的だったものはなんでしょうか

ホンマ 愛・地球博(愛知万博:2005年日本国際博覧会)は貴重な経験になりました。1980〜90年代の地方博ブームのことは聞いていて、いつかは博覧会の仕事に関わってみたいと思っていました。博覧会ではアサインする人材が多いというだけでなく、地元に根ざした人材を採用し教育するという、現地採用が中心ということも、通常のイベントとは異なります。初めは挨拶も恥ずかしそうにうまくできなかった人が、研修時、本番時と経験を重ねて、短期間のうちに成長していく様子を目の当たりにし、企画、運営、デザインだけではなく「人を創る」ことも仕事だということを改めて実感し、考え方が変わったというか、新しい視点を得たと思います。

シモベ 私のキャリアにとっても、愛・地球博は特別なものです。海外パビリオンには各国の要人が来訪し、国際的なイベントが実施されることもあり、厳しい警備体制に驚きました。VIPのスケジュールや動線などの機密事項が多かったり、会期中に英国で発生したテロ事件によって予定が変更になったり、自分も世界と繋がっていると実感しました。

セノオ たばこ販売用のICカード「taspo(タスポ)」の認知促進キャンペーンを全国で実施したことですね。各地のスタッフを教育するために指導者を派遣したのですが、個人情報を扱うため間違いが許されない仕事をどうやって訓練するか、その指導方法から検討を何度も繰り返したのを覚えています。それと東京モーターショー(次回からJAPAN MOBILITY SHOWに名称変更)は、大きな経験になっていますよね。

 

イベント人材派遣にとってのモーターショー(JAPAN MOBILITY SHOW)はやはり特別なものですか

セノオ 多くのキャストがプロフィールにモーターショーでの経験を記載するのと同じように、私たちにとっても特別なイベントですね。世界中のブランドのイメージに合った人材をキャスティングして、オーディションに出てもらう。クライアントからの要望だけでなく、その文化やイメージを理解することはとても勉強になりますし、うまくいったときの満足度は高いですね。

ホンマ 私がこの仕事に就いて最初の大きな仕事が東京モーターショーでしたので個人的にも印象深いですね。イベントと言った時に多くの人がイメージするのがモーターショーではないでしょうか。華やかで楽しく魅力的ですし、来場した人に満足してもらえた時の達成感は相当なものです。2週間の会期中で関係者の絆も強くなります。

シモベ 私自身は以前、カワサキモータース様のKAZEギャルとして参加していたことがあるんです。裏方にまわってみてはじめて、その華やかさの裏側には長い準備と多くの人によって支えられているということがわかりました。現在の業務では東京モーターショーには関わりが少ないのですが、大阪モーターショーの方を担当しています。

 

イベント人材派遣としてサピエントの強みはどういうところでしょうか

ホンマ イベントへの人材派遣のほかに、研修部門、施設運営を手がけて、それぞれの部門で培ったノウハウを活かしています。社員も各部門の技能をバランスよく習得するように担当分けされています。そうすることで、アテンダントを指導したり相談相手になれる経験を積み重ねます。もちろん社内的に課題や問題解決の知見や事例を共有しています。

シモベ サピエントの組織構成は地域別でなく、グループごとに施設系・研修系・イベント系に変更されました。コロナ禍以降、オンラインでの対応が増えたこともあり、東日本・西日本双方で連携の取れる機能別の部署になっていますね。もともと関西の仕事を東京で請けたりすることも多かったので、連携・連動がしやすいですね。

セノオ 意思をもったキャスティングを心掛けています。要件に合わせて派遣して終わりという仕事ではなく、どういう人材が現場で求められているかを理解し、こういうことができる人なら貢献できるかを考えるプロセスを重要視しています。たとえばPC入力が早い人という要望があった時に、なぜ早くしなければいけないのか考え、現場のフローを改善することも考えます。それを実践するにはクライアントへのヒアリングと登録アテンダントとの日常のコミュニケーションが重要です。サピエントの理念は“信頼の結晶”。一つひとつ小さな信頼を積み重ねていくことを大切にしています。

 

イベント人材の仕事にどのような変化が起きていますか

セノオ コロナを機に行政関係の業務も増えているのですが、そちらでは接遇だけでなく、現場を運営する能力も求められるようになっています。もしかすると、展示会などのイベントでも同じような要望が増えるかもしれません。出展者の社員の方の負担を減らすために、商品説明だけでなく、ヒアリングや商談できる人が求められるのではないでしょうか。

シモベ コロナ禍でイベント案件が減り、接遇に特化した人材や喋りの得意なナレーター、MCなどの登録スタッフが違う仕事に就職するという変化が起きています。いまイベントが再開して、人材を探すのにとても苦労しています。また外資系企業の仕事も増えていて、そちらではジェンダーレスや多様性を重視されるようになっています。これまで運営は男性、接遇は女性というのが一般的でしたが、そういう括りをなくして、双方ともに男女を分け隔てなく採用するという要望があり、登録者を増やしています。

セノオ これまで男性の登録スタッフが少なく、そのなかでもステージに立ったり接遇をする方があまりいないので、モデルや役者さんの登録を強化しています。また言語対応と多様性対応を兼ねて外国人の方の登録も増やしています。男性、シニア、外国人など、人材への要望が多様化するとともに、働く環境も新しく変えていかなければなりません。子育て中の方の参画も含めて、多様な働き方ができる会社にならなければいけませんね。

ホンマ クライアント企業の多くが社内で多様性の取組みを進めていることもあり、展示会の現場などでも女性の仕事、男性の仕事と分けないようになってきました雇用の背景から、男性は正規雇用が多く、アテンダントの登録者が増えにくいので、そこはこれから対応しなければいけない課題になっています。JAPAN MOBILITY SHOWのような海外から出展や海外メディアでの発信が多いイベントが、変わるきっかけになるかと思います。

 

デジタル化が進みイベントやサピエントの社内で変っていくことがありますか

ホンマ 世の中のデジタル化がさらに進んでいき、人と人をつなぐという仕事のなかで、オンラインでのコミュニケーションへの対応が求められます。アテンダントだけでなく、私どもも「SAPI-MO(サピーモ)」などのオンラインサービスをどのように、クライアントの現場で活用できるかを提案していきます。一方、対面でのコミュニケーションの需要は引き続き高く、リアルでの体験価値を向上する努力も必要ですね。

セノオ AIバーチャルアテンダントも実用化されつつあります。しかし、AIだろうが、人であろうが、案内・接遇するという場面はなくなりません。AIと一緒に人が案内するということもあるでしょうし、その場面でお役にたてることをしていきます。

シモベ Z世代をはじめ、人に説明してもらうよりネットで見る方が楽だという人も増えています。そうした時期にこそ、人がやるべきこと、人にしかできないことを考えて、その価値を最大化するのが私たちの仕事になるかもしれませんね。

 

ありがとうございました!
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